最近少しづつ自分からピアノに向かうようになってきました。
去年「もうピアノは大キライ!」と完全にピアノに背を向けて体験レッスンに望んでいたAちゃん。
それでもレッスンに来てくれることになり、毎週のレッスンが始まりました。
でも…
本当にピアノを弾くことが嫌だったようで何をやっても知らんぷり。
目を合わせてもくれず、私に背中を向けて座っていました。
そんな中、どうしてそうなってしまったのかをいろいろな手段を使って聞いていくと
どうやらコンクールにも挑戦していたようで
「曲がむずかしすぎて…」
「練習がたくさんあって…」
「先生がきびしくて…」
「先生がこわくて…」
と、時々ポツポツと胸の内を話してくれるようになりました。
それは入会後 半年ほどたった頃でした。
よほど辛かったんだろうなあ、と話を聞いていて感じました。
でもピアノは好きなのです。
学校の放送で流れている曲について話してくれたので、その曲を右手だけ弾いてもらって連弾をしたり
音楽の教科書の中で好きな曲を弾いたり、と少しずつ 少しずつ ピアノに触れる時間が増えていきました。
そして、一年が過ぎた最近では
「家でも少し練習したよ」と恥ずかしそうに笑顔で話してくれるまでになりました。
Aちゃんとお話をしていて思うことは、指導者はそのお子様の状態を常に観察をして、今は押していい時なのか、引く時なのか、を見極めることが大切で、指導が一方通行になってはならない、ということです。
大好きだったピアノでしたが、コンクールなどに参加したことで、だんだん周りのボルテージが上がっていく中で、本人の気持ちがついて行けなくなり、それを言えない状況が続いて
結局、ピアノが嫌いになってしまった、まさに本末転倒の結末になっていたのです。
とても時間がかかりましたがAちゃんは今、ようやく自発的にピアノに向かえるところまで回復しました。
ここまでくるにはお母様やご家族のご理解もあったからこそ、と思います。
好きなピアノをもっと好きになってくれることを願いながら
これからはAちゃんのペースで、弾きたい曲を楽しんでいけるように、話し合いながらレッスンを進めていこうと思います。
本来、音楽とは『音を楽しむこと』で
決して『音(おん)が苦(く)』になってはならないのです。