シドニーの空の下で

先日、シドニー大学大学院に在学している長男のもとを訪ね、初めてシドニーの地を踏みました。

季節は夏へ向かう時期でしたが、思っていたほど暑くはなく、空気はからりとしていて、とても過ごしやすく感じました。どこまでも続く空と、広々とした街の雰囲気に、心がすっと解放されるような気持ちになりました。

仕事を一旦離れ、新たな学びの場として海外の大学院を選んだ長男。親としてできることは多くありませんが、今はただ静かにエールを送りたい、そんな思いでいます。

海外で生活し、学び、さまざまな価値観や文化に直接触れる経験は、きっと今後の人生の大きな糧になることでしょう。机の上だけでは得られない「肌で感じる学び」は、人のものの見方や感じ方を、少しずつ広げ、深めてくれるものだと感じます。

これは、大人に限ったことではありません。お子さまたちにも、年齢に応じた形で、ぜひ多くのことに挑戦してほしいと、日々思っています。

音楽の学びは、もちろん音楽の中にあります。けれど同時に、音楽は人生そのものと深くつながっているとも感じています。日常の中で感じたこと、人との関わり、挑戦してうまくいった経験や、思うようにいかなかった経験…。そうした一つひとつの積み重ねが、やがて音の表情やフレーズの歌い方、演奏の深みとなって表れてくるように思うのです。

音楽を通して感じる世界、そして音楽以外の場面で得るさまざまな経験。その両方が重なり合うことで、「考える力」や「しなやかな心」、そして自分らしい表現が、少しずつ育っていくのではないでしょうか。

広い世界を知ることは、決して特別な場所へ行くことだけを意味するのではありません。身近な一歩、新しいことに少し勇気を出して挑戦することからでも、視野は確実に広がっていくように思います。

これからも音楽を軸としながら、同時にさまざまな経験にも目を向け、お子さまたち一人ひとりの可能性が自然に伸びていく時間を、ともに歩んでいきたいと思います。