気持ちに気づくこと

ピアノのレッスンでは、「一人ひとり違う」という当たり前のことを日々実感します。
ご兄弟であっても、性格も感じ方も反応もまったく異なります。

私は指導の中で、毎回そのお子様の「最近の様子」や「今日の雰囲気」を丁寧に見るようにしています。


教室に入ってきた時の表情、ピアノの椅子に座るしぐさ、私の声かけに対する反応——
それらは、言葉よりも雄弁に、その子の“今”を教えてくれることがあります。

もちろん、それは機嫌を取るということではありません。
おしゃべりが得意な子もいれば、ほとんど話さない子もいます。
でも、その子なりの「気持ちのバロメーター」は、必ずどこかに現れています。

だからこそ、今その子がどう感じているのかを察し、
その時の気持ちに寄り添ったレッスンを組み立てていくことは、私にとってとても大切なことです。

少し元気がなさそうに教室へ入ってきた日でも、
30分後、レッスンが終わる頃には気持ちがほんの少しでも前向きになっていたら——
それが、私の何よりの願いです。

ピアノは音を学ぶだけでなく、心にもそっと働きかけてくれるもの。
これからも、そんな時間を子どもたちと一緒に積み重ねていきたいと思っています。